LNG=3月25~29日:日本の需要が増加
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時9.60~9.90ドルで推移した。日本の需要増加とロシアがウクライナのガス貯蔵施設へ攻撃したことによる蘭天然ガス(TTF)市況の上昇が相場を支えた。 日本向けの需要は増勢との見方が根強い。JERAが供給遅延や気温低下による発電用ガス需要の増加見通しを受け、複数のガス火力発電所で燃料制約を行っている。3月28日から富津火力発電所(出力516万kW)や川崎火力発電所(同342万kW)など4カ所の火力発電所で10基以上の発電機を停止させるようだ。「ここまで大規模な停止となると、稼働再開に時間を要する可能性も考えられる」(日本企業)と懸念の声が寄せられている。また、「これまで高在庫を抱え、尚且つ暖冬で需要が低調だったことから、需要家はLNGの引き取りを先送りしたり、キャンセルしたりしていた。これが影響した側面もあるだろう」(同)との指摘も寄せられた。日本需要家は既報のとおり、長期契約玉に対してDQT(下方数量弾力性)を行使し、一時的に輸入数量を減らしていた。 一方で、中国需要家は市場から退いているようだ。「中国勢は現行相場では買わない。彼らの買いアイデアは8.00ドル台にあるとみている」(日本企業)と伝えられた。また、中国国内の陸上LNG相場が下落しており、需要家は9.00ドル台で輸入すると利益が出ないもよう。さらに韓国需要家からも「9.00ドル以下でなければ、買い手は戻ってこない」との声が寄せられるなど、複数の需要家が相場上昇を嫌気して、スポット調達に消極的な姿勢を示している。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドの市場参加者からは高値を敬遠して様子見が続いている。市場関係者はインドの需要家がLNGの価格に敏感な背景として、国産ガスと輸入LNGの用途の違いを理由に挙げる。「インドは供給ソースとして国産天然ガスと、輸入LNGを調達しているが、輸入LNGよりも安価な国産ガスは、国策により需要が安定している交通用や家庭用需要に優先的に分配される。他方、輸入LNGは、価格に敏感で他のエネルギーに代替可能な業務用や肥料製造など産業用、電力用に仕向けられる」(公益エネルギー企業)。中東アラブ首長国連邦(UAE)ではバラカ原子力発電所(出力560万kW)で全4基の原子炉が運転しているうえ、太陽光発電の出力も好調なことから、発電用のガス需要が鈍い。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 ナイジェリアのボニー島プロジェクト(年産2,220万トン)におけるLNGの輸出が低調にとどまっている。3月の予定輸出量は107万トンと、前月比で11.6%の減少。前年比でも19.0%下回っている。これは同国内のパイプライン損傷による生産量の減少が背景にある。原油を狙った窃盗団が誤って天然ガスのパイプラインを破損させているためだ。
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