LNG=2月26日~3月1日:中国勢がスポット購入
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時8.50~8.80ドルで推移した。先週初にいったん2021年4月以来の安値をつけたものの、値ごろ感から中国勢を中心にスポット購入が相次いだことで、4月着の供給過剰感が後退し、「逆にタイト感が出てきている」(中国需要家)。 中国需要家によると、このところ中国着のスポット玉を積極的に買い付けているのは、フォランエナジーを含め、国営パイプチャイナが運営するLNG受入基地の使用権を持つ独立系エネルギー企業が中心だという。「カーゴをためこむスペースがあるなら、LNG価格が安いうちに買っておこうという戦略」(中国需要家)。中国勢は昨年3月にも相場が軟化した際に、パイプチャイナの貯蔵施設向けでLNGをスポット輸入し、未利用時の違約金を回避した経緯がある。 実際、市場では4月前半着の売唱えが聞かれない。4月後半着は中国国際連合石化(ユニペック)、英シェル、中国独立系エネルギー企業新奥集団(ENN)が手持ち玉を抱えているが、これらの売り手は強気姿勢を取っており、売唱えは4月限の北東アジア着のスポット市況に対して20~35セントのプレミアムで聞かれる程度だ。 一方、長期契約の商いでは、韓国ガス公社(KOGAS)とウッドサイドがDESベースで長期契約を結んだ。期間は2026年起こしの10年6カ月で、数量は年間50万トン。現在開発中のスカボロー(scahborough)ガス田出しのLNGを含む、ウッドサイドの自社ポートフォリオからKOGASに供給する見通し。KOGASは2月下旬に国営オマーンLNGとも長期契約を更改したばかり。日本企業は「KOGASは国営カタールエナジーとの長期契約を更新せず、ウッドサイドとの契約に入れ替えたようだ」と伝えた。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インド国営ペトロネットが2月26日応札の締め切りで実施していた買い付け入札で、4月16~20日着を7.70~7.80ドル、5月18~25日着を7.80~7.95ドルで落札した。ほかのインドの需要家からは「7ドル台は長期契約価格を下回っている。このような価格なら購入が続くだろう」との指摘が漏れた。中東クウェートでは、日中の最高気温は25度前後を推移しており、3月後半には30度に達する見通し。「気温が例年同様に上昇しているため、今後中東でLNG調達の動きが出てくるだろう」(日本企業)。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 米国における天然ガス価格の低迷を背景に、生産者が今後の減産を強める可能性が指摘されている。米チェサピークエナジーは既報のとおり、2024年のガス生産量を引き下げると発表。NYMEX市場の天然ガス先物価格は一時1.6ドル台と、コロナ禍の2020年6月以来の安値にまで落ち込んだ。「ほかのガス業者も同様に厳しい状況にあり、減産への動きは広がるだろう」(ポートフォリオプレーヤー)。
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