LNG=2月19~23日:安値更新、九電が販売入札
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時8.20~8.50ドルで推移した。旧正月明けで中国勢や韓国勢が復帰したものの、供給過剰感が根強く、期近着は2021年4月以来の安値をつけた。 日本の公益エネルギー企業が相次いで転売に動いており、供給過剰に拍車をかけている。九州電力が2月12日の週に応札を締め切った入札を通して、4月17~21日北東アジア着カーゴを販売したようだ。価格は4月限の北東アジア着スポット市況に対し7~10セントのプレミアム。落札者は明らかとなっていないが、15日に付与されたようだ。日本企業は「暖冬のため、九州電力のガス在庫が高い。さらに太陽光発電が好調なことも重なり、LNGの消化に苦慮している」と伝えた。また、九州電力は5月着および、6月着についても販売余地があり、近く販売入札を実施する可能性があるようだ。 JERAも、4月着1カーゴを北東アジア着のスポット市況に対して7.5~8.0セントのプレミアムで販売していたと伝えられた。武豊石炭火力発電所5号機(出力107万kW)の火災による稼働停止や、碧南石炭火力発電所2号機(同70万kW)の出力低下を背景に、JERAが2月上旬に4月着1カーゴを調達したとみられていたが、そのスポット調達も実際には需給最適化の一環に過ぎず、むしろ足元ではLNGカーゴが余剰気味になっていると日本商社は指摘した。 一方、中国では国内のLNG陸上相場がこのところトンあたり4,000元前後にまで急落したことで、中国需要家の間には様子見機運も広がっているようだ。旧正月の直後で工場の稼働率が戻らず、工業用のガス需要が低迷していることもLNGの陸上相場を押し下げている一因だ。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 国営オマーンLNGが22日応札の締め切りでFOBベースの販売入札を開示した。対象は3月30日~4月1日オマーンプロジェクト(年産1,040万トン)積み1カーゴ。日本の公益エネルギー企業は「現在オマーンLNGは欧州向けの販売に消極的なため、インドや北東アジア向けの販売に関心を示している」と伝えた。既報のとおり、オマーンLNGは2月中旬、4月下旬~5月上旬北東アジア着の3カーゴの販売に動いていた。上述の日本公益エネルギー企業もオマーンLNGから販売打診を受けていたようだ。インドでは肥料・石油化学会社であるDeepak Fertilisersがノルウェーのエクイノールと長期契約を締結した。Deepak Fertilisersはエクイノールから2026年起こしで15年間にわたり、年間65万トンのLNGを購入する
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 DES南米相場では「足元の欧州着と南米着の格差は1.00ドルを切っている」(日本企業)との指摘が寄せられた。中東出しのカーゴが欧州に向かう場合、現在は喜望峰経由を余儀なくされる。このため、中東から距離的に近い南米はカーゴが流入しやすくなっている状況だ。このなか、南米着と欧州着の相場格差は縮小している。南米ガイアナでは、大統領がこのほど、天然ガスパイプラインやその他のインフラへの投資を進めるとの意向を示した。
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