LNG=1月29日~2月2日:米フリーポート減産で上昇
DES北東アジア相場は先週、期近の3月後半着が一時9.60~9.90ドルまで値を戻した。中国向けの需要が散見されるうえ、米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)の減産が支援材料になった。 フリーポートプロジェクトを運営する米フリーポートLNGは1月26日、同プロジェクトの液化系列3基のうち1基を1カ月間停止すると発表した。寒波による電源系統のトラブルが要因とみられる。日本需要家は「特別に何か起こっているわけではない」と伝えたが、欧州向けだけでなく、北東アジア向けの供給にも影響が出るとの懸念が台頭している。 中国勢の買いの関心が高まっている。中国海洋石油(CNOOC)を含む複数の中国プレーヤーがここ1週間で、3~4月着を少なくとも6カーゴ調達していたようだ。価格はいずれも9.50ドル前後だった可能性が示唆されている。またCNOOCは1日応札の締め切りで、3月後半~5月着が対象の買い付け入札を開示した。数量は判然としないものの、3カーゴもしくは、6カーゴとの見方が寄せられている。 JERAが中部エリアで運営する武豊石炭火力発電所の5号機(出力107万kW)が1月31日、ボイラー施設での爆発によって操業を停止した。現時点で再開時期は未定となっている。これにより代替としてLNG火力発電の需要が増加するとの見方が台頭しているが、JERAがLNGの調達に動いている様子は見られない。 米バイデン政権が環境評価を考慮して米国の新規LNGプロジェクトの認可凍結を公表した。2026年以降の需給が緩いことから米国の新規プロジェクトの立ち上げが多少遅れても影響は限定的との見方を示す市場関係者が大勢だが、「主に北東アジアの需要家と長期契約を結んでいるLNGプロジェクトは、LNGの安定供給を求める契約が多く、操業開始の遅れが影響視される可能性がある」(日本需要家)。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インド向けの取引では、同国国営グジャラット州石油会社(GSPC)が1月30日に応札を締め切った買い付け入札で、3月20~31日ダヘジ基地(年間受入能力1,750万トン)着の1カーゴを購入した。価格は9.20ドルと伝えられた。GSPCはこれで1月に入って入札で計3カーゴを購入。「いずれも落札価格は9ドル台前半。これがGSPCの購入価格の基準なのだろう」(インドの需要家)。中東ではクウェート国営石油(KPC)が1日応札の締め切りで買い付け入札を開示した。対象は2月20日~5月31日着の少なくとも1カーゴ。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 米バイデン政権が環境評価を考慮して、米国の新規LNGプロジェクトの認可凍結を公表した。JERAはこの影響について、「現時点で足元の燃料調達に影響はない。ただ、中長期的な燃料の調達環境については関係方面と連携して確認をしており、引き続き、米政府の動向を注視していきたい」とコメントした。JERAは米ルイジアナ州で計画中のCP2プロジェクト(年産2,400万トン)から年間100万トンのLNGを20年間調達することで、運営会社の米ベンチャーグローバルと売買契約(SPA)を締結しているが、CP2は認可凍結の影響が市場で懸念されている。中南米では、ジャマイカの輸入が増加に転じている。
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