LNG=1月15~19日:昨年6月以来の9.5ドル割れ
DES北東アジア相場は先週、期近の3月前半着が9.50ドルを割り込んだ。期近限月の相場が9.50ドルを下回るのは、昨年6月中旬以来。潤沢な供給と欧州の天然ガス市況の弱さを受けた。 複数の市場関係者によると、中国国内の陸上LNG相場がトンあたり4,800~5,000元に急落しているという。「旧正月が近づき、工場が操業を止め始めているため、工業用のガス需要が急減している」(中国需要家)。景気回復の遅れや石炭火力の積極的な活用、ロシアからのパイプラインを通じた天然ガスの輸入などを理由に、ガスの内需は必ずしも強くないと東日本の電力会社は指摘する。陸上LNG相場も下落基調が続くと予想されるため、中国需要家は「中国勢が3月着を買いに動くとすれば、8.00ドル前後かそれを下回る水準」とみている。 日本の公益エネルギー企業は依然としてスポット調達に関心を示していない。ただ、韓国の需要家は相場の下落基調が続いた場合、「これまで表面化していなかった需要のトリガーになる。現在の価格は需要家にとって魅力的な環境」と指摘した。事実、後述のとおり東南アジア向けでは新規需要が浮上している。タイ国営石油(PTT)は18日応札の締め切りで、マプタプット基地(年間受入能力1,070万トン)あるいはマプタプットⅡ基地(同750万トン)着の買い付け入札を開示している。対象は2月1~2日着、3月1~2日着、3月17~18日着の計3カーゴ。相場に値ごろ感が生じていることから、PTTが今週も追加の買い付け入札を実施すると市場関係者は見込んでいる。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドの需要家は相次いで買い付け入札を開示している。グジャラット州石油会社(GSPC)はDESベースで買い付けを再度、開示した。対象は2月16~18日着の1カーゴ。応札は18日に締め切られる。中東では国営カタールエナジーが18日応札の締め切りで販売入札を開示したもよう。対象カーゴの詳細は明らかとなっていない。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 英調査会社のウッドマッケンジーは2023年の欧州の天然ガス需要が前年比7%減少したとしたうえで、2024年も電力向け需要が落ち込むことから低調な需要が続く、との見解を示した。価格面でもLNGは「昨年よりもさらに弱含む」と予想している。中米向けの取引では、プエルトリコのLNG輸入が減少傾向にある。
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