電力=1月8~12日:電力スポットは上値の重い展開、暖冬と軟調な燃料相場で
1月8~12日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに上昇。年末年始の休暇を終え、オフィスや工場など高圧や特別高圧の需要が戻ったほか、前週に比べ気温が低くなったことも強材料となった。ただ、同期間の24時間平均は東西ともに10~11円台と、この時季としては割安感の強い価格水準となった。潤沢な供給力と軟調な燃料相場が上値を抑えた。 また、足元ではインバランス料金が極端な高値を付ける動きが見られた。北海道では、7日のインバランス料金で12時30分~13時に200.00円の極端な高値を付けた。ほかのエリアは、いずれも10.26円だった。北海道のインバランス料金は、散発的に高値を付ける動きが見られ、6日14時30分~15時には151.94円と、22年12月14日以来となる100円超のインバランス料金を付けた。北海道電力ネットワークの担当者によると、「誤算定ではなく上げ調整単価200円の銘柄が約定した」と指摘した。さらに、東京でも11日のインバランス料金で、8時30分~9時に107.62円の高値を付けた。 JERAの常陸那珂石炭火力2号機(定格出力100万kW)が、11日9時に排ガス測定のため出力低下を実施した。低下量は70万kWに達したため、東京エリアの需給に影響した可能性もあり、「時間帯的にも常陸那珂の動向が一時的にインバランス料金に影響したのでは」(新電力の市場取引担当マネージャー)との見方もあった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、8日が0.51円、9日が0.14円、10日が0.24円、11日が1.03円、12日も1.03円と、いずれも東高西低となった。ただ、東西値差は縮小傾向だった。
年始の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(1月11日)で期近の24年2月着品がmmBtuあたり10ドル台前半となった。昨年末からは3ドル近い下落で、10日には10ドルを割り込んでいた。北東アジアや欧州など暖冬の影響でガス需要が伸び悩み、潤沢な供給力が相場の重しとなった。経済済産業省が10日に公表した、1月7日時点の発電用LNGの在庫が251万トンとなり、前年1月末時点の239万トン、過去5年平均の191万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年2月積みがトンあたり131ドル台半ばとなった。昨年末からは5ドル程度の下落。LNGの下落が重しとなった。 原油相場は、12日午前時点でWTIの24年2月物がバレルあたり72ドル台後半、ブレントの24年3月物が78ドル台半ばで推移している。昨年末時点から、いずれも1ドル程度の上昇となった。 中東情勢の緊迫化が強材料となっているものの、米国では原油やガソリン在庫が大幅増となり、需給の緩みが意識され、相場の上値が抑えられた。
週を通じた実勢高値は、10日に北海道で付けた18.48円となった。一方、実勢安値は8日に九州で付けた3.00円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が10.37円、東北が10.35円、東京が11.11円、中部が10.91円、北陸が10.69円、関西、中国、四国が10.52円、九州が10.40円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が10億7,290万4,930kWh、買い札が8億4,229万8,180kWhとなった。約定量の週間平均は6億9,449万8,240kWhだった。
1月8~12日の9エリアの電力需要は136億7,545万9,000kWhとなり、前週1月1~5日の102億5,243万kWhから33.4%増加した。なお、曜日を合わせた前年の1月9~13日の需要実績は134億9,087万3,000kWhで、増加率は1.4%となった。
1月8~12日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
1月8~12日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
1月8~12日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。約定件数は247件に達した。
1月第3週の電力スポットは、第2週から大きな変化はなさそう。気温は平年を上回る日が多くなる見通し。また、天気は週初めと週末に曇天の地域が多いが、週半ばは晴れ間に恵まれる見通しで、太陽光発電が昼間価格の上値を抑える要因になるとみられる。潤沢な供給力に加え、燃料相場も現時点では大きな変化はない見通しのため、電力スポットも上値の重い日が続く見込み。
|