日豪・産学共同=豪州産CO2フリー水素、供給網実証の規模拡大
ENEOSと千代田化工建設、豪州クイーンズランド工科大学(QUT)はこのほど、二酸化炭素(CO2)フリー水素の供給網(製造、輸送、脱水素)に関する産学共同の技術検証で、世界で初めて実際に使用できる水準まで規模を拡大し、燃料電池自動車(FCV)へ充填することに成功したと発表した。2日の記者発表によると、再生可能エネルギーを使い水とトルエンにより豪州で製造したメチルシクロヘキサン(MCH)から約6kgの水素を日本で取り出し、実際にFCVに充填し、走行させた。
来年度に150kW級の電解槽の開発へ 水素の運搬・貯蔵媒体(キャリア)であるMCHを製造する手法は、ENEOSが開発した「有機ハイドライド電解合成法(Direct MCH)」。2019年3月の段階では水素の取り出し量が約0.2kgと実験的な水準にとどまっていた。6kg程度はFCV1台の1回分の充填量に相当。 一方、今回、水素の取り出しで使用した電解槽は2kW級。電解槽の開発を担当するENEOSはMCHの製造量を増加させるために、2022年度には大型電解槽のベースとなる150kW(電極面積3平方メートル)級の中型電解槽を完成させる計画。さらに2025年度をめどに5MW(5,000kW)級の大型電解槽の開発を目指す。 実証では、QUTが太陽の位置に応じてパネルの方向を調節し、太陽光を効率的に集めて発電するシステムを開発。千代田化工は高効率の脱水素反応装置と関連の触媒の開発を担当する。
図の出所: ENEOS・千代田化工建設・クイーンズランド工科大学 記者発表
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