シンガポール=9月のバンカー重油販売量、前年同月比8.2%増の421万トン
シンガポール港湾庁(MPA)はこのほど、9月のシンガポール港でのバンカー重油販売量が421万8,000トン(速報値)だったと発表した。前年同月比で8.2%(31万9,200トン)、前月比では1.2%(4万8,700トン)それぞれ増加した。
高硫黄380cst重油は87万6,000トンと前年同月比181万3,600トン、前月比では9万5,700トンそれぞれ減少した。硫黄分0.5%・180cstは1万6,300トンと前年同月比5万5,100トン減少した。一方、前月比4,400トン増加した。硫黄分0.5%・380cstは228万5,800トンと前年同月比218万3,800トン、前月比では5万7,700トンそれぞれ増加した。また、硫黄分0.1%のLSMGOは36万2,800トンと、前年同月比7万8,500トン、前月比では8万9,600トンそれぞれ増加した。
世界的には、新型コロナの感染拡大を受け、各国で船舶の往来が大幅に減少している。しかし、シンガポール港のように、年間を通して悪天候による遅延が発生しづらい、利便性や供給能力の勝る港に需要が集中する傾向がみられる。9月には、北東アジア全域で度重なる悪天候に見舞われため、船会社の多くがシンガポールでの補油に切り替える動きが散見された。結果として、同港での燃料油の販売量が増加した。ただし、主要な取引の商品である、VLSFOの販売価格の上値は重かった。中国の洪水やインドのモンスーンで軽油需要が激減したため、軽油を含む中間留分の精製マージンが低迷し重油と軽油の2油種のマーケットに影響を受けるVLSFO価格は、やや軽油の価格寄りの安値で推移した格好だ。
同港における9月の平均VLSFO価格は323.36ルと、前月の341.74ドルと比べ18.37ドル下落した(リム情報開発調べ)。