電力=9月16~20日:関東など猛暑で東日本が続伸、西日本は反落
9月16~20日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および続伸した一方、西日本(60Hz)が反落した。九州から関東にかけて連日猛暑の地域が散見されるなど厳しい暑さとなり、高水準の冷房需要が続いた。18日には、東京の最高気温が35.1度となり、統計開始の1875年以来、最も遅い猛暑日を記録した。17日から19日には、北海道から北陸の6エリアで高値が40円台に達し、19日には49.65円と50円に迫った。なお、西日本では北陸関西間にて連日複数コマで市場分断が発生した影響により、関西以西の価格が前週から下げたため、西日本全体でも前週を下回る価格動向となった。 また、高気温に伴う需給引き締まりに伴い、17~19日は関西エリア向けに、19日には中部エリア向けにそれぞれ融通が実施された。また、17~20日には東京エリアの需給逼迫が見込まれため、発電設備の作業停止計画が調整され、火力発電の点検などが先送りされた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、16日が3.47円、17日が3.11円、18日が5.31円、19日が1.95円、20日が2.71円の東高西低だった。
燃料相場は、前週末からLNG、石炭、原油のいずれも上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、19日時点で期近の24年11月着品がmmBtuあたり13ドル台半ばとなり、前週末時点(13日)から0.15ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が堅調に推移したほか、厳しい暑さから北東アジア市場では一定の買い気が見られたことも、強材料となった。ただ、引き続き売り物は潤沢だったため、相場の上げ幅は限定的だった。経済産業省が18日に公表した、15日時点の発電用LNGの在庫は188万トンとなり、前週から21万トン減少した。前年9月末時点の164万トンを上回ったが、過去5年平均の199万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、19日時点で24年10月積みがトンあたり136ドル台後半となった。前週末から2ドル程度の上昇となり、ガス価格の上昇に連動した。 原油相場は、20日午前時点でWTIの24年10月物がバレルあたり72ドル前後、ブレントの24年11月物が74ドル台後半で推移した。前週末から、WTIおよびブレントともに前週から3ドル超の上昇となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が17~18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.50%引き下げると決めたことや、中東の地政学的リスクに対する警戒感の強まりが強材料となった。レバノンで17日、ポケットベル型の通信端末が各地で爆発し、複数の死傷者が出る事態となった。親イラン武装組織ヒズボラは、交戦中のイスラエルによる組織的な攻撃だと非難しており、報復への警戒が高まっている。
週を通じた実勢高値は、19日に北海道~北陸の6エリアで付けた49.65円となった。一方、実勢安値は5.01円となり、16~17日の九州で、19日の北海道でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.35円高の16.31円、東北が同1.71円高の18.05円、東京が同1.24円高の19.07円、中部が同0.56円高の18.58円、北陸が0.71円高の17.82円、関西と中国が同1.33円安の15.78円、四国が同1.42円安の15.69円、九州が同0.49円安の14.79円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比0.6%減の10億4,803万4,700kWh、買い札が同2.6%減の10億9,116万1,760kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.9%増の7億9,634万7,110kWhだった。
9月16~20日の9エリアの電力需要は、139億2,143万3,000kWhとなり、前週9月9~13日の144億3,690万2,000kWhから3.6%減少した。なお、曜日を合わせた前年の9月18~22日の需要実績は130億601万1,000kWhで、増加率は7.1%となった。
9月16~20日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
9月16~20日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。364件・2,617MWの約定があった。
9月第4週の電力スポットは、第3週に比べて下押し傾向が強まりそうだ。第3週の最高気温は、九州から関東にかけて連日の猛暑となったが、第4週は30度前後に落ち着く見通しで、冷房需要が減少する見込み。買い気も低下するとみられ、上値が抑えられるとみられる。ただ、点検などで停止する火力発電が増えるほか、週半ば以降は曇天の地域が多くなり太陽光発電も限定的になるとみられるため、引き続き価格は2けたのコマが多くなりそうだ。
|