電力=1月4~8日:東西で100円超のコマ常態化、連日過去最高値を更新
年明け1月4~8日受渡の電力スポット価格24時間は、連日で過去最高値を更新。6日以降は昼夜で連日、100円超のコマを付けるなど、これまでにない暴騰が続く値動きとなった。厳しい寒波が日本列島に押し寄せ、暖房需要が急増する一方、昨年末から顕在化し始めた燃料不足の影響で電力の供給不足が深刻化し、西日本中心に連日で電力融通が実施される動きとなった。 このため、スポット市場に投入される売り入札量が伸び悩む一方、買い入札量は7日、8日と連日で過去最多を更新し、売りのほぼ全量が約定する日が続くなど大幅な買い超となる日が続いた。こうした売買入札量の動きに連動する格好で、価格も一段高となる日が続き、8日受渡では東西で高値が120円台に達するなど、24時間平均は東日本が99.60円、西日本が98.83円に達した。 こうした暴騰が続いている影響で、小売電気事業者の収益も急速に悪化する状態となり、特に市場調達比率が高いプレーヤーほど、深刻な資金問題に陥っている。一部の事業者は顧客の解約に動いているとの情報が伝えられたほか、日々億単位での赤字が発生している事業者など、事業存続が危ぶまれる事業者も増えているとの声が複数の市場関係者からあがった。一方、大幅なロングポジションとしていた事業者は、秋までの苦しい状況から一気に収益が好転しているほか、高めの相対電源を抱えていた事業者がこのタイミングで調達価格から大幅な利潤を上乗せして販売するといった動きも聞かれるなど、こうした状況が収益の大幅アップを招いている向きも少なからず見られた。さらに、小売価格を市場連動としている事業者は、顧客向けに自社HPで今後の対応などについて説明するなど、今回の異常な高値は様々な波紋を呼んでいる。
週を通じた実勢高値は、8日受渡の東京エリアで付けた120.02円、実勢安値は4日受渡の九州で付けた4.32円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道は前週比7.84円安の13.39円、東北は同7.86円安の13.42円、東京は同5.95円安の15.33円、中部は同1.01円高の15.96円、北陸、関西、中国、四国は同0.79円安の17.44円、九州は同0.67円安の16.31円だった。
1月4~8日の9エリアの電力需要は144億6,918万3,000kWhとなり、12月28日~1月1日の116億2,657万4,000kWhから24.4%増加した。なお、曜日を合わせた前年の1月6~10日の需要実績は134億6,783万2,000kWhで、前年からの増加率は7.4%となった。
JEPXの先渡市場では約定が確認されなかった。
1月4~8日の東京商品取引所の電力先物市場の約定結果は下記表のとおり。
1月4~8日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
1月11日の週も記録的な高値が続く見込み。週前半は厳しい寒さが続く予報のほか、燃料不足の影響も解消する見通しにないため、売買入札量は大幅な買い超の展開が続くと見られる。週半ば以降は寒さが緩和する見通しだが、今回の高値要因である燃料問題が解消されない限り、 下げ余地は限られそう。 |