電力=12月21~25日:前週比で下落も高値圏続く、火力の燃料不足が深刻化
12月21~25日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに下落。前週は、全国的に冬型の気圧配置が強まり、気温低下が急速に進んだが、21日以降は寒さが和らいだこともあり、暖房需要も低下傾向となったため、価格にも波及した。ただ、引き続き夕方では40円台や50円台などの高値を付ける動きは続き、東京エリアでは24日受渡で過去最高値となる70.10円を付けた。24日は、23日に比べ気温も高くなる見通しだったため、24日受渡の価格も軟化傾向になると見込んだプレーヤーが多かったが、予想に反し価格上昇の動きが一段と強まり、24日受渡の東京エリアではベースで30.31円に達した。 こうした値動きになった要因として、東京エリアのLNG火力7基で大幅な出力低下となることが影響したと見られる。複数の市場関係者によると、燃料のLNG不足が深刻化し、出力低下を余儀なくされる格好となったようだ。LNG不足については、東京エリアに限らず、東北から九州の多岐にわたり、特に九州では石炭不足も懸念されているという。足元のLNG市場では、アジア太平洋圏の生産設備で供給障害が複数発生しているほか、欧系トレーダーによる継続的な買戻しなどで北東アジア市場のスポット価格は高騰し、スポット品の数量も限られているもよう。さらに、期近のLNG船がタイトで到着の遅れが出ているとの情報や、新型コロナの検疫で滞船も影響しているとの指摘もあった。いずれにしても、燃料不足の影響は当面続く可能性が高く、今後の電力価格への影響を懸念する声も聞かれた。
週を通じた実勢高値は、24日受渡の東京エリアで付けた70.10円となり、東京エリアでは過去最高値となった。実勢安値は23日受渡の東日本で付けた4.71円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道は前週比7.84円安の13.39円、東北は同7.86円安の13.42円、東京は同5.95円安の15.33円、中部は同1.01円高の15.96円、北陸、関西、中国、四国は同0.79円安の17.44円、九州は同0.67円安の16.31円だった。
12月21~25日の9エリアの電力需要は142億7,480万5,000kWhとなり、12月14~18日の147億4,000万4,000kWhから3.2%減少した。なお、曜日を合わせた前年の12月23~27日は131億4,453万6,000kWhで、前年比では8.6%の増加となった。
JEPXの先渡市場では、23日に4件、24日に3件の約定が確認された。23日の4件はいずれも関西エリアの24時間型で、21年1月2日~8日受渡が12.35円で5MW、1月9日~15日受渡が12.21円で5MW、21年1月16日~22日受渡が12.74円で5MW、1月23日~29日受渡が12.60円で5MWだった。24日の3件は、いずれも東京エリアの24時間型で、2月6日~12日受渡が9.07円で1MW、2月13日~19日受渡が9.16円で1MW、2月20日~26日受渡が9.02円で1MWだった。足元のスポット価格の急伸で価格ヘッジニーズが急速に強まったと見られる。
12月21~25日の東京商品取引所の電力先物市場の約定結果は下記表のとおり。
12月21~25日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
12月28日の週も高値傾向が続きそう。燃料不足の影響が続くと見られるほか、週後半には厳しい寒波が予想されており、需給は引き締まり傾向になることが予想される。年末を迎え、産業用需要が大幅に減少するほか、今年は新型コロナの影響も加わり、通常であれば価格も割安傾向になるが、今年の年末はいつもと異なる高値傾向になることが予想される。 |