電力=10月26~30日:まちまち、東は30日に高騰し一部で30円の約定
卸電力市場はまちまちの動きとなった。Rim Indexスポット(翌日物取引)価格の24時間・中心値は、前週の平日(10月26~30日受渡)の平均でみると、前の週(10月19~23日受渡)と比べ、東日本が1kWh当たり(以下同)0.22円高(4.1%上昇)の5.64円、西日本が0.07円安(1.1%低下)の6.03円。東日本は29日受渡までの段階では西日本よりも軟調だったが、30日受渡で高騰し、前の週を上回った。テクニカル要因が強く働いた部分がありそう。西日本は、もっぱら太陽光発電からの供給で需給が緩んだとみられる。東日本と西日本の平均の格差は西高東低の0.39円と、同じく西高東低の0.68円だった前の週よりも縮小した。
29日受渡までの平均価格は、東日本、西日本ともに昼間主導で下がった。気温が過ごしやすい水準で推移し、一部を除き晴れ間にも恵まれた。29日受渡までの4日間の平均は、東日本が0.32円安だったのに対し、西日本は0.06円安。東日本では30日受渡で波乱が発生。日本卸電力取引所(JEPX)で、16時30分から始まる3コマで高値30.00円を付けるなど、約定水準が跳ね上がった。30日は、東日本で雲が多くなる一方、西日本は引き続き日照に恵まれるとの予想だった。加えて、30日に向けて、火力供給力が東日本ではやや減少し、西日本では、上積みされる計画となっていた。東日本の強材料の威力を増幅させたのがテクニカル要因とみられる。東日本と西日本を結ぶ周波数変換設備(FC)で始まった工事の関係で、変換容量が低下。一方、北海道の札幌では30日、最低気温が6度と29日よりも3度低い水準で、天気も雨交じりが想定されていた。折悪しく、北海道エリアでは、日曜25日受渡で、連系線の不具合があり、夕方の一部で高値30.00円を付けたばかり。加えて、直近では、火力の運用変更が、公表ベースでもみてとれ、供給体制に対する不安感が醸し出されやすい状況。西日本から融通を受けにくい中、東日本では、30日の夕方などの電力確保に自信のない一部の買い手が、北海道の25日の高値を念頭に、市場調達に向かったため、偶発的に、東日本全体に高値が付いた可能性がありそう。
JEPXの1日前市場では、最も市場規模の大きい東京エリアの平均が5.62円と、前の週と比べ0.22円高。気候条件の違いや本州との連系線の制約により独自の動きになりやすい北海道エリアは、同0.29円高の5.91円だった。東京と東北の価格差は0.29円と0.07円の拡大。東北を含む東日本の3エリアでは、太陽光発電の影響を受けやすいピーク時の平均価格は前の週を下回ったが、昼間全体と夜間は値上がりした。 西日本の最大市場である関西エリアの平均は6.06円と、前の週と比べ0.06円の低下。価格が他地域と比べ割安水準で推移することの多い九州エリアは、同0.09円安の5.91円だった。両域の価格差は0.15円と0.03円広がった。関西と九州は、東日本と異なり、昼間の価格が下がった。ただ、夜間は両エリアともに、東日本を上回る上げ幅だった。売り手が過度な供給過剰を回避するため、太陽光以外の発電設備の供給力の抑制に傾斜したと考えられる。
JEPXのスポット取引(1日前市場)は26日受渡から30日受渡で、システムプライス・24時間の平均が、前の週と比較して0.04円安(0.7%低下)の5.51円だった。同期間の1日平均の約定量は約8億3,200万kWhと、前の週より300万kWh増えた。
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