電力=8月3~7日:東日本の7日受渡、需給ひっ迫し大幅高
卸電力市場は、引き続き強含んだ。Rim Indexスポット(翌日物取引)価格の24時間・中心値は、前週の平日(8月3~7日受渡)の平均でみると、前の週(7月27~31日受渡)と比べ東日本が1kWh当たり(以下同)0.78円高(14.4%上昇)の6.19円、西日本が0.10円高(2.1%上昇)の4.82円だった。前の週と比べ天気が好転し太陽光発電の供給圧力が強まりから、6日受渡まで、東日本ではむしろ弱含みで推移。平日最後の7日受渡では、東京で「猛暑日」並みの最高気温が予想され、火力脱落が重なり、東日本の価格が急激に上昇した。東日本と西日本の中心値の格差は1.37円と、前の週の0.69円から広がった。
日本卸電力取引所(JEPX)の7日受渡では、東日本の東京と東北、北海道の15時30分から16時の1コマで最高値30.57円を付けた。前後の6コマは20円台。東京の予想最高気温が前週、30度以上でジリ高に推移し、7日に猛暑日の基準である35度目前の34度が見込まれた。一方で、一部の火力設備が唐突に停止した。鉄鋼メーカー系の出力60万kW級のガス火力6日6時過ぎに計画外停止。7日再開の予定とされていたが、結局、同機は7日の9時過ぎに再開未定で再度の計画外停止となったことが7日朝、市場に伝わった。大手電力系の15万kW級のガス火力も6日6時頃に計画停止した。再開は7日でも時間が不明のうえ、突然の運用計画で、市場の買い手の不安心理を助長した部分がありそう。これらに先立ち、5日に急浮上した運用として、東京エリアにある60万kWの石炭火力も同日20時に再開未定で計画停止した。東京エリアでは暑気の強まりそうな7日に向けて、火力供給力があわたただしく、脱落していた格好。一部関係者は、新型コロナウイルスの余波で、低水準価格が常態化していたため、市場調達比率が高くなりすぎた副作用を指摘した。暑気の強まりに拍車がかかるなかで、特に大手電力以外の火力の脱落が発生すると、一部の買い手が調達の確保に迫られ、やむなく、それまでの相場からかけ離れた水準での調達に向かわざるを得ないという。
JEPXの1日前市場では、最も市場規模の大きい東京エリアの平均が6.18円と、前の週と比べ0.78円上昇した。気候条件の違いや本州との連系線の制約により独自の動きになりやすい北海道エリアは、同0.90円高の6.38円。両域間の価格差は、東京安・北海道高の0.20円と、前の週よりも0.12円広がった。北海道の中心都市である札幌は前週、雨交じり予報の日が多く太陽光設備からの供給が減少した可能性が高い。東北エリアの平均は6.16円と、東京とほぼ同水準。週平均の夜間価格は東京、北海道ともにわずかに弱含んだ。 西日本の最大市場である関西エリアの平均は4.84円と、前の週と比べ0.12円の上昇。価格が他地域と比べ下振れすることの多い九州エリアは、同0.06円安の4.66円だった。関西は夜間価格の上げ幅が昼間よりも大きかった。中核都市である大阪の予想最低気温が25度から27度の間の高い水準で推移し、夜間の冷房需要が押し上げ圧力になったと考えられる。九州はピーク時を含む昼間の価格が弱含んだ。福岡では好天が予想される日が多く、太陽光発電からの供給が潤沢だったもよう。
JEPXのスポット取引(1日前市場)は3日受渡から7日受渡で、システムプライス・24時間の平均が、前の週と比較して0.22円高(4.4%上昇)の5.18円だった。同期間の1日平均の約定量は約9億9,400万kWhと、前の週より4,710万kWhの増加。
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