LNG=6月22~26日:北東アジア着相場が軟化、供給余剰感台頭で
DES北東アジアのスポット相場は小幅軟化した。商いの中心となる8月前半着の相場は2.05~2.15ドルと6月上旬に比べ10セント軟化した。スポット玉が潤沢で需給の緩さが表面化した。露サハリンに加え、インドネシア、豪州の各プロジェクト出しに売り物が見られるうえ、生産障害で供給量が落ち込んでいたマレーシアのビンツルプロジェクト(年産2,800万トン)からも売り物が出てきた。中国の独立系エネルギー企業は「マレーシア国営ペトロナスは、8月着に加え7月下旬着2カーゴを抱え売り込みに来た。この他にも8月着を含め6~7カーゴの販売打診が寄せられた」と伝えるなど、6月末にかけて再び供給余剰感が強まった。
【FOB中東、DES南アジアおよび中東】 パキスタンでは3月以降、引き取りが前年同月を下回る状況が続いた。同国で新型コロナの感染者数が増加し続けており、ガス消費量が減少している。パキスタンにおけるガス生産量は通常の水準で推移していると見られるため、消費量の減少がLNGの輸入減につながっている。国営パキスタン石油(PSO)およびパキスタンLNGがカーゴを購入しているが、スポット購入に動かなかった。2019年のこの時期は、米国、オマーン、アルジェリアなど様々な産ガス国からカーゴが供給されていたが、6月はほぼ全量がカタール出しの長期契約玉となった。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他】 アンゴラプロジェクト(年産520万トン)出しの輸送用に傭船需要が浮上した。アンゴラLNGは25日に締め切った入札で、7月上旬にアンゴラプロジェクトで船積みする1カーゴをFOBベースで販売するとともに、8月と10月にもFOBベースで複数カーゴを販売。今回の7月積みカーゴについては、シンガポールのパビリオンエナジーや中国石油天然気(ペトロチャイナ)が欧州向けの輸送用に傭船に動いた。アンゴラLNGは、傘下のソナンゴルシッピングを通して「ソヨ」号(容量16万400立方メートル)など7隻の自社船を所有して運航しているが、アンゴラプロジェクトの生産が好調なことから、余剰玉の全てをDESベースで販売できず、このところFOBベースでの売りを増やしている。 |
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