アジア石油製品=6月15~19日:北東アジア積みガソリンは上昇、需給引き締まりで
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は強含んだ。需給の引き締まりが相場を押し上げた。製油所の定修や減産などにより、北東アジアではスポット供給が減少している。一方、新型コロナウイルスの感染が収束し、ロックダウンの緩和が進んでいる中、ガソリンの需要が増えている。台湾フォルモサ石油化工(FPCC)は17日、入札を通して7月21~25日と26~30日積みの93RONガソリンMR船型2カーゴを販売した。これらは、トレーダー1社がFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し1.70ドルのプレミアムで落札したと伝えられた。大型船での取引のため、割高な価格で成約されたとみられる。一方、日本の大手元売り1社がシンガポール積みガソリンMR船型を6月末川崎着で購入していたとの情報が寄せられた。
ナフサ アジアの液化石油ガス(LPG)の価格は、前週末に台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)がLPG買付けに動いたため上昇したが、その後はプロパンおよびブタンともに大きく下落している。北東アジア需要家筋は、「LPG安によりナフサからLPGへの切り替えが起こり、ナフサ市況には下押し圧力となるだろう」という。石化市場では、オレフィン相場が需要回復を背景に800ドル台まで上昇しており、ナフサに対するマージンは500ドル程度となっている。ナフサクラッカーもフル稼働に近い状況となっている。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は上昇。需給引き締まりを受けた。ただ、域内石油各社の製油所稼働率が依然として低く、7月積みスポット玉の数量が極めて少ない。韓国石油1社はタームカーゴの供給を優先しており、現時点でスポット販売の実施については未定という。一方、石油会社からターム玉を引き取っているトレーダーにはMR船型数カーゴのスポット販売余力があるとみられるものの、「このところ市況が強含んでいるため、販売を急いでいないようだ」(市場関係者)。一部の売り手は、日本や韓国積み玉の売りアイデアをFOBベースでシンガポール市況に対し1.00ドル程度のプレミアムと想定しているとの見方が伝えられるものの、この水準での具体的な商談はいまのところ聞かれない。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は横ばい。ただ、韓国積みカーゴに対する引き合いは依然弱い。供給面では、SKエナジーやSオイルは製油所の定修によって稼働率が低下し、供給が減少している。ただ、原油相場が落ち着き始めたことで精製マージンが改善しており、製油所が再び稼働を引き上げる可能性もある。新型コロナウイルス感染拡大の第2波が発生すれば、需要も再度落ち込むと見込まれ、需給が悪化するとの懸念がある。「7~8月の市況も横ばい、もしくはじり安となるのでは」(韓国石油会社)との見方がある。
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