NTTとバイオベンチャーのユーグレナ(東京都港区)は4日、藻類の品種改良で新技術を確立したと発表した。両社は｢中性子線｣を照射することにより、バイオ燃料の原料となる油脂の生成量を増やすことが可能な藻類の品種改良に世界で初めて成功。中性子線は、中性子が原子核を飛び出して一方向に運動している状態を指し、物質の構造解析や材料開発などに活用されている。両社は、中性子照射の最適な条件を、藻類の一種であるミドリムシ(学名ユーグレナ)へ適用したところ、野生のミドリムシに比べ1.2倍から1.3倍の油脂生成量を持つミドリムシの取得に成功したという。研究成果は、3日に英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

両社は今回、2種類の藻類に対して中性子線による品種改良が適用可能であることを確認した。今後、NTTでは、二酸化炭素(CO2)吸収量を向上させた藻類の品種改良やその原因遺伝子の解析を行い、2種類の藻類以外への新技術の有効性を検証する。活用目的に合わせて有用性を高めた藻類の品種改良、生産を行うことで、温室効果ガスの削減やエネルギー資源の生産だけでなく、農林水産飼料の創出なども目指す。