LPG=元売りの在庫が低下、パナマ運河の混雑が背景
パナマ運河の混雑で液化石油ガス(LPG)の輸入に遅れが生じ、日本元売りの在庫が低下している。一部の元売りは輸入したLPGを複数の港に分散して荷揚げしたり、内航船で基地間の転送を実施したりして、在庫切れの回避に奔走。寒波が押し寄せる中、LPG需要の急増に備えて、元売り各社は慎重な在庫管理を求められそうだ。
在庫低下の要因は船舶交通の要衝であるパナマ運河で、船の通行に時間がかかっているためだ。クリスマスが近付いて国際物流が活発になるなか、太平洋と大西洋を結ぶこの運河にガス運搬船やコンテナ船が殺到。船によっては運河を渡り終えるまで、最大2週間程度を要しているようだ。これによって、世界最大の供給拠点である米メキシコ湾岸から日本に届くLPGにも、配送の遅れが生じている。また、日本国内のLPG出荷が11月に想定を上回るペースで伸びていたことも、在庫低下の一因となっていた。
図=LPGの輸入状況
元売りの関係者は「自社船がパナマ運河を通行する際は、事前に通峡予約料金を支払って、なるべく滞船が発生しないように努めている」という。ただ、このコストは国内市場で卸業者に販売する際、全額が転嫁されているわけではなく、安定供給のために身銭を切っているのが実情だ。また、パナマ運河の通峡予約はすでに1年先の、2021年12月まで埋まっているとの情報も伝えられている。他の元売り関係者によると、年末年始の国内需要は手持ちの在庫で乗り切れるため、供給が枯渇する心配はないという。しかし、元売り各社が「パナマ運河の混雑状況に頭を悩ませる日々はしばらく続きそう」(市場関係者)だ。 |