一般社団法人農産資源認証協議会(ARC)のパーム椰子殻(PKS)の第三者認証スキーム「PKS認証制度」の認定機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が21日、一般財団法人日本ガス機器検査協会(JIA)を国内で初めて認証機関として認定した。日本発のPKS第三者認証スキームが確立したことで、日本のバイオマス発電所向けのPKSに新たな商流が生まれる可能性がある。
　
　日本の再生可能エネルギー電力買取(FIT・FIP)制度は、バイオマス燃料の持続可能性の証明を発電事業者に求めている。持続可能性を証明する第三者認証として、資源エネルギー庁は「GGL(Green Gold Label)」などの海外のスキームに加え、2024年4月からARCのPKS認証制度を新たに認めた。
　
　第三者認証は、「認証基準を制定する機関」、「基準に従って認証を行う機関」、「認証機関の審査能力を認定する機関」の三者が互いに独立した形で行うことで、持続可能性の証明力を発揮する。今回、認定機関のNITEがJIAを認証機関として認定したことで、ARCが保有するPKS認証制度が実質的に動き出す。
　
　PKS認証制度の特徴は、PKSの発生地点である搾油工場(ミル)から回収業者、輸出業者(シッパー)を経て、発電所に納入する商社に渡るまでのサプライチェーン全体を当該商社が管理下に置くことで、一括して認証を取得できるところにある。
　
　既存のスキームでは、サプライチェーンに介在する各事業者がそれぞれ認証を取得し、発電所まで認証を数珠つなぎにすることで持続可能性を担保する。その場合、サプライチェーンの各段階で認証費用が発生し、発電所に納入されるPKSの価格に跳ね返るとの見方がある。ARCのPKS認証制度ではこうしたコストが比較的小さく、結果的に発電所への納入価格が抑えられる可能性があるという。既存のスキームでは、扱い切れなかったサプライチェーンの開拓にもつながりそうだ。
　
　また、サプライチェーンの途中で認証が切れた場合、既存のスキームではそのサプライチェーンからの供給が途絶えることになるが、PKS認証制度では商社が調整を行うことでそうしたリスクを小さく抑えることができるとされる。
　
　反面、PKS認証制度では、商社がミルを含めたサプライチェーン全体の持続可能性に責任を負うことになる。PKSの取り扱い量の多い商社ほどサプライチェーン管理の負担が重くなる。現実的にそれだけの負担を引き受け切れない商社もありそうだ。