新春特集=原油相場、東京オリンピックの影響は?
2021年に予定されている国内最大イベントと言えば、夏の京オリンピック・パラリンピックだ。原油相場への影響をどう見るか。
上野剛志上席エコノミストはオリンピック開催による訪日客増加そのものは世界の原油需要に与える影響がほとんどないとみている。ただし、オリンピック、パラリンピックで訪日客の受け入れとコロナ感染抑制の両立が示されれば、国際的に海外旅行再開の機運が広がり、航空需要の回復が原油相場の支援材料になることも考えられるとした。
大越龍文シニアエコノミストもあまり影響はないと指摘。オリンピック、パラリンピックが開催されても2021年は北半球の夏季に人とモノの移動が自由になっている可能性は低いという。燃料需要が大きく回復するとは考え難く、開催そのものが原油価格へ与える影響はほとんどないと見ている。
匿名アナリストはどうだろうか。同氏も影響はあってもそれほど大きなものではないと見ている。対外的には東京オリンピック、パラリンピックの開催で新型コロナウイルス対策が十分に行き渡るとともに、人類がウイルスを克服した象徴と市場では受け取られる。世界経済や石油需要の回復に対する前向きな見方が生じ、原油相場へプラス材料に受け止められる公算が大きい。
もっとも、開催規模や内容次第では原油相場への影響は殆どないか、むしろ下方圧力を加える可能性も含んでいる。国内に限らず、世界的にさらに感染が拡大し、各国首脳の決断で「中止」ないしは「再延期」を選択した場合、原油相場に限らず、金融市場にも大きな材料として受け止められる可能性がある。