韓国=石化業界の現状と見通し
韓国では、9~11月にナフサクラッカーの定修が集中していることに加え、ロッテ・ケミカルがデサンで運営しているナフサクラッカー1基が不具合で3月から長期停止している。さらにS-オイルのオレフィン設備も先週末に稼働停止しており、オレフィン全体の供給に引き締まり感が出ている。
エチレンでは、韓国国内の誘導品メーカーの稼働率が堅調に推移するなか、ロッテ・ケミカルが3月以降に不足分を国内または輸入品を調達してきた。また、S-オイルも不足分のエチレンの買い付けに出ているようだ。先行きについて、誘導品相場がエチレン高に追随しない場合、誘導品を減産し、エチレンを販売する動きが出てくる可能性もある。しかし、YNCCとSKGCが、ナフサクラッカーの定修を11月中旬まで続ける見通しにあるため、下げ余地は限定的と見方がある。
プロピレンでは、上述のナフサクラッカーの定修に加え、製油所も石油製品相場の軟調を受け稼働率が低下しているため、供給は限られる。一方、需要面では、エチレン同様にロッテ・ケミカルがプロピレンの不足分をスポット市場で買い付けており、韓国国内のプロピレンに余剰感がない。誘導品であるポリプロピレンおよびプロピレンオキサイドの需要が堅調に推移し、市況の下支えとなっている。このような需給引き締まり感は11月まで続くとの見方がある。
ブタジエンでは、新型肺炎の影響でテレワークを進めている会社が多く、ABSなど小型家電向けの需要が堅調に推移。また、合成ゴムの需要も戻りつつあり、ブタジエンに対する買い気が強い。一方で上述のようにロッテ・ケミカルのナフサクラッカーが止まっていることを受け、ブタジエン供給は不足が続いている。ナフサクラッカーの定修が一巡するまで供給タイト感が続く見通しだ。