シンガポール=太陽光でプラスチック廃棄物を有用物質に変換
シンガポールの南洋(ナンヤン)理工大学(NTU)の研究チームは昨年12月、太陽光エネルギーを利用してプラスチック廃棄物を有用な化学物質に変換する技術を開発したと発表した。環境を配慮した新しい手法として注目されている。プラスチック廃棄物の処理については海洋投棄による環境破壊の深刻化などから世界的規模で取り組みが始まっている。 プラスチックを有用な化学物質に転換する技術には、化石燃料を用いてプラスチックを溶解する方法があるが、化石燃料は温室効果ガスを生み出す。また水と太陽光でプラスチックから水素ガスを生成する光化学改質(photoreforming)では、毒性のある触媒(カドミウム)を使う。これに対しNTUの技法は太陽光エネルギーを利用し、金属のバナジウムを光触媒としてプラスチック廃棄物をギ酸に変換するもの。バナジウムは安価で環境に優しい。ギ酸は燃料電池での発電や抗菌剤に利用できるという。さらに、NTUの実験ではプラスチック分解が他の手法より短い6日間で達成されたと報告されている。 |
シンガポール : 萩本 智史 03-3552-2411Copyright © RIM Intelligence Co. ALL RIGHTS RESERVED.