中国=ブタジエンゴム市場の現状
2019年のブタジエンゴム(BR)は軟調ムードが続いた。9月に一度は大幅に上昇したものの、原料であるブタジエン相場が下落したことに加え、BRの需要が振るわず、再び下げ基調に転じている。また、BRの供給に余剰感があり、一段の先安懸念が強まっている。
ここ数年、中国のBRの生産量は急速に伸び、全世界の3分の1を占めるまでになった。調べによると、2016~17年に煙台浩普(Yantai Haopu)が年産6万トンの新規BR設備を稼働開始したほか、揚子石化(Yangzi Petrochemical、年産10万トン)と錦州石化(Jinzhou Petrochemical、同3万トン)のBR装置を再稼働した。今後は、四川石化(Sichuan Petrochemical、同5万トン)、久泰(Jiutai、同8万トン)、茂名石化(Maoming Petrochemical、同10万トン)が19~21年に新規稼働する予定。
ただ、2018年末時点の中国国内のBRの年間生産能力は約161万トンで、足元ですでに供給余剰になっている。中国国内の生産能力は十分内需を賄えるが、一方で国内のBR生産は汎用グレードが多く、一部のハイグレード品の生産能力は低い。
中国では近年、自動車業界の発展が徐々に鈍化しており、タイヤの需要が頭打ちになっている。一方で、タイヤの性能に対する要求が高まりつつある。特に安全、経済性、環境保護に対する要求が日増しに厳しくなっている。これらに応えるため、BRメーカーはレアアースゴムの生産と研究開発を拡大し、高性能で環境負荷の少ないタイヤの比率を増やす必要がある。