シンガポール=LNGプロジェクトの最終投資決定が堅調、19年は過去最多とも
シンガポールで10月30〜31日に、液化天然ガス(LNG)国際会議(ガス・アジア・サミット、DMG主催)が開催された。出席者の多くは、2019年の液化天然ガス(LNG)プロジェクトの最終投資決定(FID)が過去最多になると予想。LNGの需給が2025年頃に引き締まるとの観測が根強いことが影響しているという。また2016~2018年のFID数が低迷した反動との見方も多かった。 年末までに「カナダのウッドファイバーLNGがFIDを下す可能性が高い」(シンガポール取引業者)との声も聞かれた。ウッドファイバーLNG はカナダのブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュでのLNG事業を計画している。FIDの件数は今後2年ほど好調が続くとの見方が多い。2020~2021年にFIDを下す可能性があると見られるのは、ナイジェリアLNG(NLNG)トレイン7、プルートLNG拡張プロジェクト、パプアニューギニアのPLNG・トレイン3、カタール大規模増産計画、米ポートアーサー、露ノバテクのVysotskプラント拡張などが挙げられている。 また、今後のLNG取引のトレンドとして、「低コストLNG」が一段と流通するとの見方や、米国流のFOB販売/トーリング方式が他の地域でも広がるとの観測が聞かれた。また契約は対象期間が3~15年に短縮される傾向が進むとの声が多い。契約価格については特に需要家の間で、アジアのLNGスポット取引指標が契約価格のフォーミュラに織り込まれる可能性があるとの見方が根強い。ただ、大規模プロジェクトの生産者の多くは、現時点でのアジアのLNGスポット取引の流通量が過小なためこの価格指標が採用される可能性は低く、原油相場や欧州天然ガス相場が契約価格の指標として使われる方向は変わらないと強調する。
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