記者の眼記者の眼

第264回 (2024年9月24日)

 月に1冊も本を読まない人の割合が6割超に上ると、このほど文化庁が実施した調査で判明した。実際、書店の閉店も続いており、出版業界はかなり厳しい状況であるようだ。私が住んでいる小田急線の世田谷区内の駅でも、昔は小さいながらも駅周辺に書店が45店はあったが、今はその全てがなくなってしまい、隣の駅の駅ビルに三省堂書店が1店舗あるのみとなってしまった。

 

 現代人は忙しく、文字ばかりの書籍を読むのは骨が折れるという人も多いかもしれない。文字ばかりの書物より、マンガやチャートなど視覚に訴えるもののほうが好まれる傾向は世界的にあるようだ。一方、読書は自分の脳で情報を視覚化したり想像力を働かせるなどひと手間が必要だ。読書離れの原因の1つとして、スマホの登場があると思う。スマホで検索すれば、あらゆる物事が苦労なくわかる。スマホは便利なことが多いものの、情報に対して私たちは受け身となってしまうため、過度に頼り過ぎると自分で考えなくなり、人間は退化してしまうのではと危惧することがある。ロダンの有名な彫刻、「考える人」のように考える必要はないが、直ぐに答えの出ないことを考え、悩むことにも意味があり、それによって文明が進化してきたといった側面もあると思う。

 

 リムでは、エネルギー業界に関するレポートを発行しているため、活字離れの傾向は人ごとではない。電車に乗るとみながスマホをいじっている。少しはスマホから離れ、自分の頭で考える必要があるのではと思う。

  

(高木)

 

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