記者の眼記者の眼

第202回 (2023年7月5日)

 上海での暮らしも10年が過ぎ、乗用車の買い替えを検討している。新エネルギー車(NEV)にするか、従来のガソリン車にするか迷うところだ。中国では政府の補助金が手厚く、値ごろ感からNEVの普及が急速に進んでいる。国内外の既存の自動車メーカーのほとんどがNEVを発売しているうえ、新メーカーも次々誕生。数え切れないほどのブランドがあふれている。ガソリン車市場への影響も大きく、販売不振から値下げを強いられている。輸入高級車の購入も可能かなと妄想することもある。

 

 中国政府は、20149月からNEVの購入税を免除しており、今年12月まで延期している。また、純電気自動車(BEV)購入時の消費税を免除している。上海では、10万元相当の有償のナンバープレートを無償で提供することで、NEVの購入者が増えている。統計によると、今年5月の中国全体のNEV販売量が71.5万台に達し、前月比12.6%増、前年同月比60.7%増加した。

 

 NEVの普及が進む一方、技術が成熟しておらず、車両火災や充電設備の不足などの問題も多く見られる。長距離運転時、バッテリー切れを懸念して車内のエアコンの使用を抑えるケースもあるという。一部の消費者は、新規のNEVメーカーの商品に不安を持ち、購入を避けている。

 

 一方、米国の有力電気自動車メーカーであるテスラ(TESLA)は上海に工場を持ち、売れ行きも好調だ。テスラの戦略や価格が大きな影響を与えており、リーダー的な存在だ。ただ、愛国心から外資系NEVの購入を避ける人もいる。

 

 現状では、NEVとガソリン車の甲乙をつけがたく、数年は車の買い替えをせず、業界の動向や技術の進歩を待っても良い気がしている。

 

(辺)

 

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