記者の眼記者の眼

第203回 (2023年7月12日)

 昨年11月に公開された新しいテクノロジー人工知能(ChatGPT)は、世界中で登録ユーザーが急増しているという。人気の秘密は、まるで人間と対話(チャット)をしているようで、明確な指示を出せばしっかりとした回答が得られる点にあるようだ。私も早速試してみたが、瞬時に回答が画面上に表示され、その自然な文体に驚かされた。

 

 現時点ではまだ開発途上で、すべてに完璧な回答を提供することはできないという。人間のように日々学習し、アップデートしているようだ。

 

 気がかりなのは、人工知能の進化により、将来は50%の仕事がなくなるとさえ言われていることだ。近い将来に半分の仕事がなくなると聞いて、自身も含めた現役世代には不安が募るかもしれない。

 

 そこで、「人工知能はツールの1つに過ぎず、私たちの創造性や論理的な判断力を超えるものではない」と考えてみてはどうだろう。人工知能は私たちの世界を新しい段階に導くものと考えれば、それほど恐れなくても良いかもしれない。

 

 歴史を振り返れば、イギリスで始まった産業革命で、蒸気機関の発明や機械を導入した工場の普及で、それまでの農業社会が工業社会へと移り変わった。20世紀後半にはインターネットなど情報通信技術が急速に発展した。インターネットはすでに、私たちの生活とは切り離せない重要な社会インフラだ。

 

 こうした時代において、私たち記者の役割は何か。人工知能には書けない、読み応えのある記事を提供していくことだろう。

 

(方)

 

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