記者の眼記者の眼

第194回 (2023年5月10日)

 ゴールデンウィークの休暇を利用し、自宅を掃除しようと思い辺りを見回すと、不要になったにも拘わらず、捨てずに放置していたものがゴロゴロ出てきた。乗らなくなった自転車、二度と読み返すことがないであろう本や雑誌、どんなデータが保存されているのか思い出せない古いハードディスクドライブなど...

 

 どれも自分に必要だと思い買ったはずだが、気付けば無用の長物と化している。自転車は購入後の引越しにより、乗る機会がめっきり減った。いまの生活では自転車より、歩きやすいスニーカーの方が必要だ。不要になった品々を眺めていると、必要なものはその時々で変化するし、その変化は予想が難しいとしみじみ思う。

 

 世の中が求めるエネルギーのかたちは時代とともに変化してきた。古くから燃料として使われてきた木は乱伐で森林資源が枯渇し、産業革命のころ主要な燃料の座を石炭に譲った。その石炭は取り扱いの簡便さなどで石油に一部用途が置き換わり、最近は環境対策で石油、石炭が太陽光、水素などの新エネルギーに変わろうとしている。

 

 石炭も石油も当初はエネルギー不足などを解決する救世主として歓迎された。それがいまや環境面で逆風が強い。とすれば現在の新エネルギーも、時代が変われば不要とされる日がくるかもしれない。個人的にはどんなものでも不要になった途端、お払い箱とするのは忍びない。そんな性格が手伝い自宅の掃除も不用品を眺めるだけで終わってしまった。

 

(西江)

 

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