記者の眼記者の眼

第182回 (2023年2月8日)

 122日は中国の旧正月だった。今年は3年ぶりに新型コロナウイルスの感染予防を目的とした行動制限がなかったため、久しぶりに帰郷する人も多く、高速道路では渋滞が発生。各地の観光地も多くの来客で混雑し、こうした状況がニュースでも報じられた。

 

 上海に暮らす私は旧正月を近場で過ごした。連休の2日目には初詣と映画を見に出かけたが、当初に思っていたよりも人出が多く、街のにぎわいが少しずつ戻ってきているように感じられた。各地で爆竹も解禁されており、新年らしく花火の楽しさも味わうことができた。2019年末に新型コロナの感染が始まって以降、初めて「春節」と呼ぶにふさわしい旧正月の様子を目の当たりにした。

 

 中国政府が新型コロナのゼロ政策を解除した1カ月前を振り返ると、行動制限の解除に伴い感染者が急激に増加し、各地で病室が不足する事態となっていた。このような状況は病院にとどまらず、飲食店、銀行、さらには私が取材を担当する石油化学業界を含む製造業の現場でも大混乱が生じ、中国経済はパニック状態に陥っていた。

 

 それでも旧正月を迎えたころにはようやく新型コロナの感染者は減少し、市民生活や産業界も正常に向かいつつある。旧正月の連休が明けていつもの生活が戻るなかで、需要が回復し、中国経済が不況から抜け出すのではと期待している。

 

(金)

 

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