記者の眼記者の眼

第181回 (2023年2月1日)

 昨年末に携帯電話を買い替えた。以前使用していたものは2018年のマレーシア出張前に入手した。現地調達のSIMカードが使えるよう、グローバルバンドを備えたものにした。それから約5年、長らく愛機として活躍してくれたが、バッテリーの劣化が著しく買い換えを決めた。

 

 新たな相棒は一世代前のハイエンドCPU5G対応、有機ELディスプレーを備えている。米ドルで比較すれば先代の相棒より安く、今のところ不具合はない。いずれも過去には品質面で不安が多いと言われた中国ブランドだ。

 

 石油化学業界では一昔前、中国が他国から技術導入したプラントの隣に、そっくりのプラントが「自国技術」として建設されるという笑えない噂話が数多く聞かれた。その後も政府系企業が海外から技術を導入、多額の資金を投じて大型設備を建設・操業しノウハウを蓄積してきた。製品によっては一時的に企業が乱立し生存競争が起こるが、最後は競争力を磨いた企業が勝ち残る点では携帯電話業界に似ている。

 

 中国では川下産業の育成を経て、競争はナフサクラッカーやプロパン脱水素(PDH)設備など基礎化学原料であるオレフィンで起こっている。新たな製造設備が相次いで生産を開始し、これまで中国に輸出してきた各国の石油化学メーカーへの影響も大きい。すでに大規模な減産が常態化している。供給過剰に陥る石油化学産業が今後どのような動きをみせるのか。日々の取材で書き留めたい。

 

(北村)

 

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