記者の眼記者の眼

第178回 (2023年1月11日)

 元旦に地元へ帰り、3日まで実家で過ごした。高校卒業と同時に地元を離れたため、実は育った街をよく知らないまま20年以上の時が流れている。毎年実行できずにいた地元巡りを今年こそはと、寝正月を止め、行ったことがない温泉地や記憶が曖昧な場所を散策した。

 

 正月三が日、実家周辺は雪もなく天候に恵まれた。車で郊外を走れば小中学校が目に入る。「部活の試合でこの学校に来たような...」とぼんやり昔を思い出しながら少し山を登った温泉地に向かうと、びっくりするほどの降雪だった。この間40分前後、そんなに遠くへ移動したつもりはないが、坂道で立ち往生する前方車を見て天候の変化に驚いた。「街中は雪がないのに少し離れると別世界か」と、地元の天候に無知だった自分を恥じた。3040センチは積もっていただろうか。

 

 取材記者となり今年で23年目。資料や人から聞く話はもちろん大事だが、「本当に理解しているのか」と問われると、自信がない。WEBサイトを見たり、親族や知人から話を聞いたり、地元の名所をこれまで何度も見聞きする機会はあったが、どこにあるのか、どうやって行くのか、さらにその周辺についてかなり曖昧だった。石油業界を取材するなか、同じようにこの油槽所はどこから燃料が運ばれるのか、商圏はどこまでか、知っているようでよくわからない。雪が深々と降る露天風呂で改めて思う。「目と耳だけの情報では不十分。現場を歩き、感じるものを大事にしたい...」と。

 

(阿部)

 

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