記者の眼記者の眼

第165回 (2022年9月28日)

 中国では近年、政府の支援もあり、主に純電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車の2種類を含む新エネルギー車(NEV)が急速に普及している。統計によると、2021年には前年比160%増となる352万台のNEVが販売された。

 

 中国の自治体で唯一、自動車の保有台数が600万台を超える北京では、NEV50.7万台に上る。また、私の住む上海でもNEVの普及が一段と加速しており、全保有台数の500万台超のうち、70万台程度がNEVで、その比率は北京を凌いでいる。

 

 上海ではNEVの購入に対し、政府からの補助金支給に加え、免税や上海のナンバープレートを無償で提供している。上海では午前7時から午後8時まで、上海のナンバープレートを付けた自動車だけが都心部につながる幹線道路を走ることができるため、10万元を支払って上海のナンバープレートを手に入れる必要がある。こうした事情もあって、比較的安価なNEVの購入者が急速に増えている。国産NEVの場合、10万元以下で購入できる車種も多い。

 

 上海の朝夕の通勤ラッシュ時に幹線道路を走る自動車3分の1ほどがNEVだ。NEVのナンバープレートは緑色、一般の自動車のプレートは青色なので一目瞭然だ。

 

 NEVの需要が急増し、ガソリン車に必要な複雑なエンジン技術の壁が消えたことで、既存の自動車メーカーに加え、不動産企業、IT企業などが次々とNEV生産に参入し、数えきれないほどの国産メーカーが誕生している。今後、中国でどのくらいNEVが普及していくかしっかりと見守っていきたい。

 

(辺)

 

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