記者の眼記者の眼

第162回 (2022年9月7日)

 今年も3分の2が過ぎ去った。30歳を過ぎてからは、まるで早送りのように時間が進むように感じる。無論これは心理的なもので、自分自身の経験に影響されるようだ。未経験のことは強く意識に残るため、時間は長く感じるが、経験済みのことであれば時間は気にならなくなり、短く感じるという。

 

 残り4カ月の目標を立てつつ、今年のこれまでを振り返ると、記者として未経験のことばかりが続いた。その1つが昨年12月に導入された「燃料油価格激変緩和対策」だ。政府が原油価格高騰による卸売価格の高騰を抑える目的で導入し、消費者の負担低減を図っている。この政策がなければ、レギュラーガソリンは200円を超えていた。

 

 もう1つは急激な円安だ。円ドル相場は年初の116円台から、日米間の金利格差の拡大などを受けて今春に130円台に急落。約20年ぶりの水準となった。830日時点では139.57円と、140円台は目前だ。輸入価格の上昇が進み、エネルギー業界でも燃料価格高騰に苦しむ企業が続出している。

 

 円安に加え、2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の影響も大きい。原油や天然ガス、石炭など化石燃料の高騰が止まらず、世界各地に影響が広がる。

 

 化石燃料の高騰で再エネへの転換が進むかといえば、必ずしもそうではない。脱炭素化の動きが加速する一方、 化石燃料にも改めて注目が集まる。目まぐるしく変貌するエネルギー情勢にアンテナを張り、記者としてその変化をしっかりと見つめていきたい。

 

(林)

 

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