記者の眼記者の眼

第158回 (2022年8月10日)

 ウクライナ紛争が勃発してはや半年近くが経とうとしている。情報技術の革新に伴い、遠く離れた我々日本人でも、この動向をつぶさに知ることができている。ただ、ウクライナとロシアの双方が、国際世論を味方につけるため、あるいは国内の支持を得るため、それぞれの立場にとって有利な情報のみを発信している、との疑念はすでに多くの受け手が意識しているところだ。ということは、どちらかが、あるいは両方が事実に反した情報を流している可能性があることになる。

 

 マーケットという舞台においても、いまやSNSを利用することで、誰もが自分にとって有利な情報を発信することができる。いわゆるポジショントークだ。「風説の流布」にも相当するような偽情報を見かけることもしばしば。

 

 さて、ここで気になるのが、我々が日々携わっているスポット市場での「嘘情報」への対応法だ。市場参加者はどのように対処しているのだろうか?ある精製会社の原油の購買担当に聞いてみた。

 

 「私たちの商売では原油の品質や価格が大事だが、それは取引相手を信じられることが前提条件だ。嘘をつくようなやつとは誰も2度と取引なんかしないから、そんなやつはこの世界で生き残ることはできないよ」

 

 なるほど。ネットのような無限の世界とは異なり、スポット市場は取引参加者が限られる良い意味での「村社会」。その狭さのおかげで、信用度による市場参加者の淘汰という自浄作用が備わっているようだ。

 

(橋本)

 

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