記者の眼記者の眼

第157回 (2022年8月3日)

 筆者は喫茶店に入ると、深く考えずにアイスコーヒーを頼む。優柔不断な性格の自分が時短に向けて設けた簡単なマイルールだ。メニュー表を下手にみると、あれにするか、これにするかと悩んでしまう。場所、時間問わず毎回「アイスコーヒーをください」ばかりで芸がないとも思うが、すでに習慣として染み付いてしまった。

 

 絶対にアイスコーヒーだとガチガチに決め込んでいる訳ではない。ただ、一度設けたルール、習慣を惰性で運用し続けてしまうことは個人、集団問わずあるだろう。林業関係者の間では「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)が事実上の制度疲労を起こし、ここ1年ほど林業家の機会損失につながっているとの訴えがある。

 

 バイオマス発電所の増加を受け、発電用チップ向けの丸太は全国的に品薄だ。しかし、丸太価格は頭打ち。発電所の売電収入は基本的にFITで固定されており、連動して丸太も一定の価格以上にはなりにくい。関係者の間では丸太需給に合わせた「FITの売電単価調整を可能にするなどもう少し柔軟な制度設計にして欲しい」との要望がある。

 

 FITが再エネ普及を後押ししたのは事実で、制度自体は広く評価されている。それでも運用の不具合が生じた以上、個人的には改善に向けた運用の見直しがあって良いのかなと思ったりする。筆者もアイスコーヒー気分でない日はメニュー表を眺め「アイス...ココアをください」程度にマイルールを適宜変える柔軟性を備えておきたい。

 

(西江)

 

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