記者の眼記者の眼

第150回 (2022年6月15日)

 筆者は電話で海外企業を取材し、耳から得た英語の情報を、日本語に書き起こしパソコンの画面上においてチーム内で共有する。つまり聴覚で入手した英語の内容を日本語に変換し視覚化する。

 

 こうした作業が可能なのは、人の脳内に神経を媒介とし本来無関係なものを等価交換する仕組みが存在するからだ、と専門家は分析する。耳が空気の振動を、目が光をそれぞれ捉えて脳内で信号化し、それらが交換され言語として表出されるのだという。

 

 この世界では言語に限らず様々なものが交換、変換される。原油市場では原油が、小麦市場では小麦がそれぞれ取引される。しかし、原油と小麦が直接交換されたとは聞いたことがない。それは脳神経の媒介なしには聴覚と視覚からの情報が交換不可能であるように、貨幣の仲介なしに原油と小麦は取引できないからではなかろうか。

 

 国家間では外交を通じて「軍事兵器と食糧・エネルギーの取引」が過去にあったはずだし、地球上のどこかで現在も行なわれているだろうことは想像に難くない。しかし、現代国際社会においては貨幣を仲介にすることで様々な取引の均衡を保ってきたのでないだろうか。エネルギー安全保障でさえ貨幣での解決を求めるしか術はないのだが、有事の際にはエネルギー燃料価格の天井知らずの高騰ももたらし、国民生活には大きな負担を強いることになる。

   

(小屋敷)

 

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