記者の眼記者の眼

第148回 (2022年6月1日)

 

 よく行くケーキ店に「6月から一部商品の値上げをさせていただきます。心苦しいのですが、ご理解いただけるようお願いします」との張り紙が出ていた。ケーキといえば、小麦粉、バター、砂糖、卵が主な原料。加えて焼いたり冷やしたりする際の電気、ガス代がかかる。昨今の資源や食料価格高騰の影響をまともに受ける品目ばかりだ。「申し訳ありません」と恐縮する店員に、「食べられるだけでも感謝ですよね」と応えた。

 

 ウクライナから日本への避難民が1,000人を超えたという。彼らの目に今の日本はどう映るのだろう?テレビではウクライナのニュースに続き、バラエティ番組でグルメの情報が流れることも少なくない。同じ地球上の国なのかと感じることもあるのではないか。

 

 日本の私たちに謹慎、自粛を求めるのではない。記者としてクリーンエネルギー情報を追いかけて思うのは、脱炭素に向けた技術や取組にはもちろん感心するのだが、一方で利用者として身近に考えるべきことがもっとあるのではという点だ。さして広くない住宅なら箒を使い、洗濯物の少ない日は手洗いで済ませる、こんなことを繰り返すだけでも、電気の消費は抑えられる。親や祖父母の世代が当たり前にしていたことだ。資源もなく、食糧自給率も4割に満たない国の住民として、少しの工夫や居住まいを正す堅実さが求められる。結局、それが持続的可能な社会の本質なのではないかと、昨今の世界情勢の中で考えさせられた。

  

(工藤)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp