記者の眼記者の眼

第147回 (2022年5月25日)

 

 中国の最大経済都市と呼ばれる上海で食材の調達に困る日があるとは夢にも思っていなかった。3月から新型肺炎の感染拡大により上海はロックダウンが約3カ月ほど続けられている。この3カ月間すべての店、スーパーも閉まっており、普段賑やかだった町もがらがらとなっている。このなか、毎日目が覚めたらオンラインでの食材調達の争いとPCR検査から一日が始まる。

 

 ロックダウンは市民の生活だけではなく、経済および石化産業にも影響が出ている。物流の制限により、生産された製品の出荷ができず、在庫が積み上がっており、生産を中止している工場が多い。また、人手不足で到着した輸入船の入港が遅れており、原料不足で稼働率を引き下げている石化メーカーも見られる。一方、ロックダウンにより、経済行動もできず、プラスチック、服装などの需要も減少している。4月の上海の自動車販売はゼロだったとも聞かれる。5月の販売もほぼ4月と同様と見られる。

 

 5月16日以降、ロックダウンが解除されつつあるが、行動範囲が制限されており、完全回復は6月末と見られる。中国だけではなく、海外のエネルギー産業も上海のロックダウンの影響を受けており、解除時期が注目されている。

 

 上海のロックダウンが解除される場合、中国政府が経済刺激策を打ち出し、需要が回復するのではと期待の声が挙がっている。

  

(金)

 

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