記者の眼記者の眼

第146回 (2022年5月18日)

 風が吹けば桶屋が儲かる。ある事象が無関係と思えるところで影響が出ることの例えだが、世界は至るところで繋がり合っている。中国の上海では3月終わりごろから、新型コロナウイルス対策として都市封鎖を実施。日本のニュースでもその様子は報じられ、ご存じの方がほとんどだろう。

 
 日本の自動車メーカーは部品が調達できず、今月後半には一部の工場の操業を停止すると発表した。自動車の生産には多種多様、かつ大量の部品が使用されており、サプライチェーンは網の目となり、海外まで及んでいる。このため、上海の都市封鎖が日本の自動車減産につながった。


 日々の取材では「中国の化学メーカーがトラックドライバーを手配できず誘導品の出荷ができなくなった。エチレンの購買が止まっている」、「当社の樹脂を積載した船が上海の港に入れない」、「中国から部材が輸出できず、韓国で中間製品が組めず、日本に自動車用パーツが入ってこない。部材の生産が減り、石化製品の需要が落ちている」、といった具合に、石油化学産業の基礎原料から、汎用樹脂や誘導品、最終製品近くに至る各段階に従事されている方から、断片的ながら様々な声を寄せていただいている。


 そうした長大なサプライチェーンの上流に位置する石油化学について、取材で提供いただいた情報に基づき、何が風、三味線、ネズミで桶かをつまびらかにできるよう、毎日の取材、記事作成に勤しんでいる。

  

(北村)

 

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