記者の眼記者の眼

第143回 (2022年4月20日)

 企業の決算資料や官公庁の審議会の資料、リリースなどを見比べると、各組織の個性がよくわかる。エネルギー業界では脱炭素社会やクリーンエネルギーを意識しているのか、最近は淡い緑や水色を背景色に使う資料をよく見る。

 

 一方、経産省や資源エネルギー庁など官公庁の資料は1ページに内容を詰め込む傾向がある。隅から隅まで文字や数字が並び、作り手は「このページで全てが分かる」と言いたいのかもしれないが、読み手は理解するのに一苦労だ。

 

 十数年前、とある勉強会に参加した際、有名広告代理店と大手IT企業所属者のプレゼンを見る機会があった。内容はともかく、パワポでここまで出来るのか、これがプロの技かと感心したのを覚えている。見せ方と魅せ方が新鮮で、「なるほど」と納得してしまった。

 

 昨年末に資源エネ庁は高騰する小売価格に対し、「激変緩和」として補助金支給を決めたが、当初の資料はとにかく分かりづらく、何度読んでも頭に入らない。資料は何度か更新されたが、それでも理解に苦労した。直近でもいつまで継続か、トリガー条項と何が違うのか、この場合はどうなるのかなど、業界関係者はもちろんのこと、大手マスコミ各社も揃って取り上げている。補助金制度を立ち上げた際には想定していなかったロシアのウクライナ侵攻、その後の原油高騰が重なったことは理解できるが、資源エネ庁には資料の見せ方と魅せ方、つまりは「伝え方」にもう一工夫を求めたい。

 

 

(阿部)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp