記者の眼記者の眼

第140回 (2022年3月23日)

 私事だが、昨年末に入籍し、新居の購入を考えている。東京近郊で土地を購入し、上物は建築士である妻の父に設計してもらう算段だ。妻の希望もあり、100平方メートル以上の広めの土地を探しているのだが、これがなかなか難航している。

 

 コロナ禍によるリモートワークの普及が影響しているのだろうか、同じように郊外に移住する人が増え、不動産価格がどこもかしこも上昇しているのだ。加えて、いわゆるウッドショックで木材価格が高騰しているほか、原油1バレル100ドルの時代となり、石油由来の建築資材も軒並み値上がりしている。一戸建ての建築費用は暴騰している。

 

 「どうせならエコハウスにしよう」と、断熱材、太陽光パネル、蓄電池の利用を義父や妻は提案してくれる。無論、自分も可能ならより環境にやさしくと思いつつ、その度に跳ね上がるコストを見て、環境への配慮を実現することの難しさを思う。エネルギー価格高騰に直面する世界経済の縮図を見ているようだ。

 

 東京に一戸建てを建てるというのはもはや夢物語であり、一般的な会社員には望めない時代になってしまうのではないかと感じた。家を買うことができず、希望があっても結婚を躊躇し、未婚率の増加に拍車をかけている面があるのではとも思う。跳ね上がるコストを念頭に置きつつも、妻に対して、「マンションでも良いのでは」とはなかなか言い出せず、週末になっては土地を物色する日々が続く。

 

(横井)

 

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