記者の眼記者の眼

第139回 (2022年3月9日)

 私が、侵攻という言葉を聞いて思い出すのは2001年の米国によるアフガニスタン侵攻だ。911日の同時多発テロが発生した直後、米国の現地校に通っていた私は、当時のブッシュ米大統領の演説を教室で聞いた記憶がある。授業が中断され、教師が教室にブラウン管テレビを設置したのだ。その日から1カ月も経たない1017日に米国はアフガニスタンに侵攻した。

 

 それから20年。私はエネルギー業界を追う職に就いた。昨年後半のある時から、パイプラインを通じてロシアから欧州に送られる天然ガスの供給量について、頻繁に取りざたされるようになった。取材先の女性と、「ロシアの挙動がおかしい」と軽口を叩いたこともあった。そして今年の224日。ロシアがウクライナ侵攻を開始した。

 

 米国のアフガニスタン侵攻のように分かりやすいきっかけが無かったように見え、まさに寝耳に水。侵攻が始まった日、私は動画サイトでウクライナの首都キエフからのライブ配信を流し続け、海外誌の速報に注目した。

 

 エネルギー業界は常に世界情勢と連動するが、今回は原油や天然ガス大国のロシアによる侵攻であることが、なおさら影響を大きくしているように思える。欧州各国はロシア以外からのエネルギー調達を開始。脱ロシア依存は日本も例外ではない。

 

 米国は2021830日にアフガニスタンから完全撤退した。ロシアのウクライナ侵攻はいつまで続くのだろうか。今はただウクライナに早く平穏が訪れることを願う。

 

(服部)

 

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