記者の眼記者の眼

第123回 (2021年7月21日)

 「人の行く裏に道あり花の山」、「噂で買って事実で売る」相場格言として有名すぎる言葉である。

 

 人とは反対のことをやった方がうまくいく、事実が分かったときその相場は終わりを迎える、多くの解説本やウェブサイトにこんな説明がされている。

 

 言葉とは不思議なもので、今に残る格言、熟語、ことわざは、その言葉が生まれた当時、流行り言葉の1つに過ぎなかったのではないだろうか。その流行り言葉が各時代の荒波に耐え、生き残った。耐え得るだけの深みがあったからこそ今でも使える言葉なんだろう。見えない芯が通っていたのか、残った言葉は長い年月と多くの人達に揉まれた猛者と言える。

 

 過去には「そんなことはない」と、自ら実験的に反対のことを実践した人がいたかもしれない。しかし、そんな彼らは歴史から消されているだろう。今に残る言葉とは共感の集合体であり、無下に否定する必要もない。

 

 ところで、去年流行った言葉、10年前に流行った言葉。さて、なにがあったか、去年ですらすぐには思い出せない。自身が流行りに疎いからだろうか。

 

 言葉は歌詞や曲とも言い換えられる。そして世に長く愛されている曲が多数存在する。実はこうした曲にはピアノ、弦楽器、金管楽器等々、簡単なコードで弾けるものも多い。わかりやすく、平易、それでいて心に残る。文章で何かを表現するとき、愛された歌詞やメロディのように、とまではいかないまでも、見やすく、読みやすいものを心掛けたい。

 

 

(阿部)

 

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