記者の眼記者の眼

第118回 (2021年5月12日)

 友人とお互いの近況を話していたある日。輸入雑貨を扱う会社で物流の業務を担当する彼女は、クリスマス商戦や春夏シーズン向けの納入が終わって一息ついているところだと言う。毎年聞いている内容だが、ふと、「コンテナ船の運賃が高いのは影響があるのかしら」と尋ねると、無いわけがない、昨年から今に至るまでコンテナ船を手配するのが如何に大変で、費用が例年とどれだけ違うかを教えてくれた。

 

 バイオマス燃料の取材をしていて、コンテナ不足で燃料を運べない事態になるかもしれないと取材先に教わってから、船会社や商社にあちこち聞き回っているが、まさか自分の身近に専門家がいるとは思わなかった。

 

 記者は普段、取材を通じて情報を得る。何を聞くかを考えるのは基本として、誰に聞くかも重要だ。これならあの人に聞こうとピンとくるか、人脈を持っているか、これらも記者の手腕のひとつで、その鍛錬が足りていなかったと反省した。

 

 エネルギーは産業から普段の生活に至るまで、全ての人の営みを支えるもので、売った買ったのプレーヤーだけに関わるものではない。近頃は脱炭素についてのニュースも増え、エネルギーの未来までも今や多くの人にとっての関心事かもしれない。

 

 休日だからと情報のアンテナを畳んでしまうのはもったいない、もっと色々な人とエネルギーの話をしようじゃないかと決意を新たにしたところで、気が付くと上司の愚痴へと移っていた彼女の話に意識を戻した。

  

(柏原)

 

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