記者の眼記者の眼

第111回 (2021年1月27日)

 アメリカ第46代大統領(59期)に民主党のジョー・バイデン氏が就任する。実は、今回の大統領選で1つのアノマリーが打ち破られた。それは、19811989年の共和党レーガン政権(4950期)を中心に、戦後から現在まで民主党と共和党が互い違いに政権を担ってきた。59期目にあたる20212025年は共和党から選出される順番だったが民主党が勝利した。

 

 もう1つ注目すべき現象がある。それは長期金利だ。1941年初頭に2%割れした米国長期金利(10年債利回り)は、40年後の19819月に15.82%でピークアウト、以降は一貫して下げ基調となって、39年後の20207月には新型コロナ対策のための超金融緩和で0.53%まで下落した。ここでも、レーガン政権を挟んで左右対称に40年の金利上昇・下落のサイクルが存在する。

 

 歴史的に民主党政権は大きな政府を志向するとされるが、バイデン氏の政策もオバマケアの拡大も含めてその例から漏れない。環境関連では、パリ協定への復帰、クリーンエネルギーに4年間で2兆ドルの投資、自動車の排出ガス規制、化石燃料規制など、公約実現のための財政支出は10年で8兆ドルを超えるとされる。もっとも、具体的な財源は、法人税の引き上げや富裕者層や大企業に対する増税が主体で心許ない。

 

 大統領選にまつわるアノマリーには終止符が打たれたが、次の長期金利のサイクルは上昇の40年となるのだろうか。クリーンエネルギー実現にはコストがかかるが、その負担は誰が負担するのだろうか。

 

(山田)

 

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