第85回 (2020年1月22日)
入社以来、長らくガスの市場に携わってきた。2003年から2010年までは液化石油ガス(LPG)、2010年から2015年までは液化天然ガス(LNG)を担当した。入社当初、LPGって何?というところから始まったが、プロパンガスのことだよ、と言われて納得。ただどういった流通経路で消費者に届けられているかは知る由もなかった。
LPG、LNGは生産国でそれぞれ石油ガス、天然ガスを急速冷却して液体にし、専用船で消費地に持ち届ける。日本ではLPGはプロパンガス、LNGは都市ガスとして主に消費される。経済成長が進むと消費エネルギーの構造も大きく変化する。家庭用エネルギーは、薪で火を起こしていたのがボンベを介したプロパンガスになり、最終的に都市ガスへと進むのが定石のようだ。
市場が成熟した日本では、家庭での都市ガスの使用が増加する一方、LPGの消費は減少している。都市部への人口集中も手伝い、LNGの輸入量は高水準だが、LPGの輸入量は頭打ちだ。反面、東南アジアやインドなどの新興国は経済発展に伴い、LPGの輸入量が急増している。自身がLPGに携わっていたころは、東南アジア向けのLPG販売量は限られていた。インド向けに至ってはまったく取引を聞かなかった。今ではこれらの市場がアジア圏でのLPG取引を席巻している。
価格評価は、取引頻度が多い油種、地域に集中する。LPG、LNGともに昔と今では対象地域が大きく異なる。市場関係者の話に耳を傾け、市場の中心の変遷を知ることができるのも、この業務の醍醐味である。
(植村)